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第107号

2021年07月30日発行

コロナとの戦いに克つために

参議院議員西田昌司

東京オリンピックを開催しても命は奪われない

 このShowyouがお手元に届いている頃には、東京オリンピックは恐らく無観客で開催されていることと思います。私は、かねてより東京オリンピックの開催には基本的に賛成していました。その理由は、オリンピックでのアスリート達の極限に迫る姿は、必ずや全世界の人々に勇気と感動を与えることになると確信していたからです。そして、その感動がコロナに打ち克つ勇気を与えてくれると思っていたからです。更に、パラリンピックの選手のひたむきな姿を見れば、なおさらその感動が伝わるものと思っていました。
 ところが、コロナ禍の下では、オリンピックやパラリンピック自体を開催すべきでないという世論が依然として多く、また、首都圏では感染者の増加傾向が見られたため、結局は無観客での開催となったようです。
 先に行われた東京都議会議員選挙で自民党は惨敗しました。その原因の一つに、コロナ禍におけるオリンピックの開催の是非があったことは間違い無いでしょう。特に、共産党を中心に、「命とオリンピックのどちらが大切なのか」というキャンペーンが行われました。しかし、これは全くのデマゴーグです。
 そもそも、新型コロナウィルスが原因で毎年の死亡者数が増えた(超過死亡者数)という事実はありません。確かに、欧米では新型コロナウィルスが死亡原因の上位に数えられていますが、日本ではそうした事実はありません。世界保健機関(WHO)によると、間接的なものも含め新型コロナウイルスが原因で亡くなったとみられる人の数を示す「超過死亡」が、昨年に世界で最低でも約300万人に上ったとの推計を公表しています。一方日本では、新型コロナウィルスによる超過死亡は無かったのです。世界的見地からすれば、日本は新型コロナウィルスによる被害を押さえ込んでいるということが事実なのです。
 この様に「命とオリンピックのどちらが大切なのか」というのは、国民に不安を煽り政権への不満を呼び起こすための政治的プロパガンダなのです。

無観客開催で良かったのか

3年ぶりに参議院憲法審査会が開催され、改憲議論が再開

 自民党が都議選で敗北したため、オリンピックは事実上無観客での開催になってしまいました。国民の不安と不満に配慮した上で、オリンピックを開催するためのギリギリの選択だったのでしょう。しかし、私は具体的なルールを示した上で観客を入れるべきだったと考えています。
 と言うのも、先に述べた様に、日本ではコロナ禍による超過死亡者は発生していないばかりか、選手始め海外からの入国者は原則としてワクチン接種が要請されており、リスクはかなり軽減されるからです。
 そもそも、選手の活躍による感動を共有するためには、ある程度の観客が必要なのは当然でしょう。一年前は、大相撲やプロ野球も無観客試合を余儀なくされました。しかし、今年は、プロ野球や大相撲では人数制限をしながらも観客を入れて開催をしています。観客数に一定の制限やマスク着用などのルールを設けることにより、観客を入れることが認められているのです。
 昨年は、ほとんどのイベントが中止されました。学校も閉鎖され、会社もリモート勤務になり、町中から人影が消えました。有名人のコロナによる死亡も報じられ、日本中がパニックに陥っていたのです。日本中が事実上ロックダウンされていたのです。
 しかし、あれから1年以上経過して、様々な事実が明らかになりました。少なくとも日本ではスポーツ観戦が原因でクラスターが発生したと言う事実はありません。だからこそ、大相撲やプロ野球で観客が入れられたのです。何故、オリンピックでは無観客でなければならないのでしょうか。私には理解出来ません。

緊急事態宣言は誰のため?

 今年の7月12日から8月22日まで、東京都では4回目の緊急事態宣言が出され、神奈川、埼玉、千葉の各県では蔓延防止措置が継続されることになりました。しかし、今年の正月から、首都圏では緊急事態宣言か蔓延防止措置が出され続けており、市民の間では自粛疲れの様相を呈しています。
 そもそも緊急事態宣言は何のために行われたのでしょうか。日本の病床の8割は民間病院等が運営しているものです。欧米に比べ圧倒的に民間部門が対応しているのが日本の特徴です。これは医療の効率的運営と言う面では意味がありますが、新型コロナウィルスのような感染症対策には非常に脆弱です。かつては国民病と言われた結核が蔓延していました。そのため国立の感染病の施設が全国に配置されていたのですが、結核を事実上克服してからは、感染症の病床は極端に減らされてきたのです。逆に、生活習慣病などの平時の医療体制の充実のために、民間病院の病床が増えてきたわけです。
 そうした状況の中で、新型コロナウィルスの蔓延が広がりました。感染症のための病床を用意していない民間病院が8割を占める日本では、新型コロナウィルスの蔓延が続けば、生活習慣病はもとより、今までの医療サービスを国民に提供できなくなります。これが医療崩壊です。こうした事態を避けるために、まずは人流抑制をすることにより、感染者数を徹底的に抑制するために緊急事態宣言が発せられたのです。
 医療関係者や国民の協力、更にワクチン接種が進んだことにより、新型コロナのための病床の使用率も、医療崩壊の危機が叫ばれた状況からは随分落ち着いてきました。にもかかわらず、マスコミ等では、感染者数の日々の増減に一喜一憂する報道をしています。一時の医療崩壊寸前の状況は、ワクチン接種の状況も考えれば、危機は脱したと言えます。緊急事態宣言は既にその使命を終えたのです。
 それでも、感染者数が少し増えれば、感染拡大の兆しありと騒ぎ、インド株などのウィルスの変異が報告されれば、ワクチンも効果がないのではないかと報道する始末です。これでは国民の気が休まることが有りません。

西村大臣の勇み足

 このような状況の中で、西村康稔経済再生担当大臣が東京都への4度目の緊急事態宣言に関連し、新型コロナ対策の休業要請などに応じない飲食店に対し、金融機関から圧力をかけてもらう考えを7月8日に表明したことが報道されました。猛烈な批判の嵐に晒され、直ちに撤回が発表されましたが、その内容は、内閣官房コロナ対策推進室、国税庁酒税課から酒類業中央団体連絡協議会に『酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じない飲食店との酒類の取引停止について(依頼)』という要請文書を出していたというものです。これでは、金融機関等に飲食店に対して「優越的地位の乱用」を要請したことになります。批判されるのも当然です。
 しかし、何故このような発言をしてしまったのでしょうか。恐らく、営業自粛を無視して闇営業している飲食店が多いために、新型コロナウィルスの蔓延の防止ができていないと西村大臣は考えていたのでしょう。しかし、発言の前に、何故闇営業をしている店があるのかを考えるべきだと思います。
 最大の原因は、営業自粛をしてもらえる給付金が少なす過ぎて店の家賃などの固定費が賄い切れないという、死活問題を抱えているからではないでしょうか。営業自粛をお願いするなら、補償額を増やすべきなのです。現実的には、補償額の算定には時間がかかりますから、とりあえずは融資によって運転資金を賄ってもらい、返済期限が来た時にはコロナ期間中の損失額が確定していますから、その金額を債務免除をする等により、実質的な営業補償に充当することなどが考えられます。
 こういうことを念頭に入れておけば、「飲食店の経営自粛をお願いします。そのため金融機関などにも融資の協力をお願いしております。融資の返済についても営業補償も念頭にしておりますから、安心して融資を受けて下さい。」という発言になったはずです。これなら、誰も文句は言わなかったでしょう。

コロナ禍から学ぶべきもの

京都府令和3年度予算要望を西脇知事から受ける

 二年前の参院選挙で、国家が果たすべき使命は災害や戦争、貧困、パンデミックなど個人の力ではどうしようもない危機から国民を守ることであり、それが経世済民の意味であると訴えてきました。奇しくも今まさにそうした危機の中に日本は有ります。今回のコロナ禍は、そうした危機に日本が立ち向かうことができるのかが問われているのです。
 先日の熱海での大規模な土砂滑りなど、毎年の様に全国で災害により命や財産を失う人が後を絶ちません。災害に強いインフラ整備、国土の強靭化は喫緊の課題です。また、コロナ禍で職を失ったり、経営困難に追い込まれている方も大勢居られます。更に、民間病院が病床の8割を担っている現在の状況下では、感染症対策に大きな問題があることも分かりました。こうした課題を克服するには、政府が解決のために長期的な計画を立てそれを実行する以外に有りません。しかし、この当たり前のことが放置されてきたのです。
 その理由は財政難です。日本政府は既にGDPの2倍以上の国債残高を抱えており、これ以上の借金は不可能だという財務省の見解が正しいものと信じられてきたのです。ところが今回のコロナ禍により、そういった財務省の見解が全くの的外れであったことが証明されました。
 コロナ禍を乗り越えるために、個別給付金や雇用調整助成金やワクチン接種等を始めとする財政出動により、国債残高はこの間一挙に90兆円以上増えました。例えて言えば、1年で2年分の予算を投入しているのです。財務省の見解が正しければ、政府は非常識な財政出動のため、通貨の信任を失い円は売られるはずです。そうなれば円安になり、国債は引き受け手が無くなり大暴落、そのため金利は上昇し、ハイパーインフレで日本は経済も財政も破綻したはずです。しかし、その様な事実もそうなる兆しも全く無かったのです。

現実を正しく知れば危機は乗り越えられる

 西村大臣が休業要請に応じない飲食店に、休業補償を増やすということより、圧力をかけることになった背景には、これ以上予算措置をするのは無理だと無意識の内に感じていたからではないでしょうか。そうした認識間違いが判断を誤らせたのです。
 何年も私が主張してきた様に、日本の様な自国通貨を持つ国が国債をいくら発行しても、自国建の国債である限り、返済不能になることはない、つまり、財政破綻することは無いのです。これが事実である事をコロナ禍は教えてくれたのです。
 これさえ分かれば、後は先に述べた様な予算を必要なところに必要なだけ投入すれば良いのです。そして、国民にコロナ後に明るい未来があることを示すのです。国民に明るい未来を示す事なしに、現状の我慢ばかりを強いれば不満は爆発します。
 日本の財政が破綻しないという事実を正しく理解して、政府が必要な予算措置をすれば、コロナ危機は必ず乗り越えられるのです。

清水鴻一郎元議員出馬の経緯

京都府第六選挙区支部長に新たに就任した清水鴻一郎氏

 安藤裕衆院議員が次回衆院選挙に出馬せず、清水鴻一郎元議員に出馬要請した経緯については、私のYouTube西田昌司チャンネルで詳しく説明しています。是非、ご覧になって下さい。

瓦の独り言
-「キセルってなあに?」-


羅城門の瓦

 若い方に「煙管」の漢字の読み方をたずねたら、「えんかん」という答えが返ってきました。年配の方だと「きせる」と読んでいただけるのですが・・・。
 この煙管、京都の伝統工芸品のひとつで、最後の一軒になった煙管竹商「谷川清次郎商店」が今もつくっておられます。それどころか時代劇には必要な小道具のひとつで、年末吉例の顔見世興行になれば松竹さんが谷川さんのところへ新品の煙管を注文されます。「町やっこ」の小道具には太い棍棒さながらの喧嘩煙管が必要となります。「桜門五三桐」の石川五右衛門には銀の延煙管が必要です。(なぜ、新品が必要かって?歌舞伎役者さんに使い回しの煙管は使いません)
 煙管の構造は、刻みたばこを詰める火皿に首のついた「雁首」、口にくわえる「吸い口」と、それらをつなぐ管の「羅宇(ラオ)」の3つに分かれます。「雁首」「吸い口」については耐久性を持たせるために金属製であり象嵌や金細工芸の加飾が施されており、真ん中の「羅宇」は圧倒的に竹が多く用いられています。
 さて、若い方に「キセル乗車」について尋ねたら、知らないとの答えが返ってきました。煙管では「吸い口」とたばこを乗せる「雁首」に金属を使っていることから「入るときと、出るときは金を使うが、中間は金は使わない」といったことからきていると説明をしたら「不正乗車行為」のことですね、定期カードをうまく悪用することですね。と答えが返ってきました。「不正乗車行為」全般を指す言葉として「キセル」が誤用されているらしいです。本来はあくまでも「中間無切符」なのです。
 この様に本来の意味が少し捻じ曲げられて使われたら違和感を感じるのは瓦だけでしょうか? 若い世代の方々の日常生活の中にも、誤用されている表現があるのを正していくのが我々シニア世代の役目と思っておりますが・・・。特に我々が中央へお送りしている西田昌司参議員は政治の世界での誤用をただし、本来の日本国の在り方を導いていただける「水先案内人」と思っているのは瓦一人だけではないと思っております。

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