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第119号 (2024/08/10)
どうなる自民党総裁選!? 参議院議員 西田昌司

低迷する内閣支持率と政党支持率

安倍晋三元総理の三回忌にあたり奈良の三笠霊園にある慰霊碑に献花をさせていただきました

 今年9月に、任期満了により自民党の総裁選挙が行われることが決定しています。また、衆院は来年10月に、参院も来年7月には任期が満了します。この一年の間に行われる選挙に日本の命運がかかっています。
 ところが、7月の世論調査によりますと、岸田内閣を「支持する」と答えた人は6月の調査より3ポイント上がって28%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は3ポイント下がって63%でした。
自民党の支持率も32%で依然として低迷が続いています。これは政権を奪還して以来最低の水準となっています。決して、野党の支持率が高いわけではありませんが、政権奪回以来最大の危機を迎えていることには違いありません。

支持率低下の原因は何か?

 支持率低下の原因は、いうまでもなく、政治と金の問題です。元々は、旧安倍派の政治資金パーティーにおける還付金の不記載が問題の発端です。この件については、前回のShowyouでその本質を詳しく述べておりますので、重複は避けますが、該当する議員のきちんとした説明責任が求められるのはいうまでもありません。その上で還付金の支出について合理的な説明ができない部分があるなら、それは全額国庫等に納付させるべきです。それにより、少なくとも政治家の不正な利得は一切ないと言うことを、自らが国民に示すことが必要なのです。
 なお、私自身については、前回のShowyouで述べた通り、還付金は全額翌年度以降の派閥パーティー券の代金として支払っており、1円の裏金も利得もありません。この事は検察も認めていることです。

政治と金の問題による政治不信を払拭せよ

 法律上、衆参の政治倫理審査会は議員の自主的な弁明の場であるため、出席は義務付けられていません。そのため、いわゆる還付金の不記載があった議員のほとんどが出席をしていません。私自身、何人かの議員に出席を勧めましたが、拒否されました。その理由は、自分自身は既に政治資金の修正報告を出し、個別に記者会見をして説明をしているからだと言います。しかし、それならなおさら国会できちんと弁明すべきだと私は思います。いくら説明をしても、結局、野党もマスコミも認めない。それなら国会で説明することも無駄だと彼らは言います。しかし、それは間違っています。野党やマスコミが納得するか否かより、政治家自身が誠意を持って対応しているかどうか、そのことを国民は見ているのです。その姿勢を示すことが大事だと私は思います。
 また、還付金の使途についても、私のようにきちんと支出先が説明できる人も中にはいます。しかし、その一方で、領収書もなく支出先も不明と収支報告を訂正している人もいます。また、還付金をそのまま金庫に保管していたという人もいます。要するに、使途が不明、もしくはそのまま保管というケースは、政治家個人の利得になっているのではないかという疑念が持たれているのです。これが、一般の人なら当然課税されますが、政治資金なら使途不明でも税金を払わなくていいのかと批判されているのです。
 そこで、先ほど述べたように、そういう金があるなら、全額国庫等に納付させるべきだと私は考えるのです。使途不明金を個人の所得として税金をかけても、所得税は税率の関係上、その金額の50%にもなりません。また、そもそも検察が捜査の結果、還付金は政治資金の不記載と認定している以上、それに課税をすることは、法律上無理があるのです。むしろ、政治家が身の潔白を証明するには、使途不明金については税ではなくて、100%国庫等に納付する方が筋が通るし、国民の理解も得られるのではないでしょうか。その方が、政治家も不正な個人的な利得は1円もないと、国民に身の潔白を示せると思います。

岸田総裁の責務

自民党女性局「スマイル号」で京都府連女性局の皆様と街宣活動を行いました

 自民党としては既に、還付金の不記載額の多寡に応じて役職停止や党員資格停止等、党としての処罰は実施しています。しかし、残念ながらこれに納得している国民は少ないようです。自民党の最高責任者として、岸田総裁がすべきことは、役職停止などよりも、むしろ、先に私が述べたように議員本人の国会での説明責任を果たすことと、支出先の不明な政治資金については国庫等への納付を促すなど、政治家としての矜恃を示すことを要求すべきだと思います。そして、それに従わないものは、次の選挙での公認をしないなど、総裁としての断固たる決意を示すことが必要であったと思います。同時に、岸田総裁自身も一旦総裁を辞職し、党の総裁としての責任を明確にすべきだったのです。その上で、自民党の総裁選で、党員や党所属の国会議員にその信を問うべきではなかったかと、私は思っています。

世界中で起きている政権批判

 一方、世界に目をやれば、様々な国で政権批判が勃発しています。イギリスで7月4日にあった下院(定数650)の総選挙では野党・労働党が209議席を増やして411議席の単独過半数を獲得し、14年ぶりに政権を奪還しました。
 フランスでは、国民議会選挙の決選投票が7月7日に投開票され、左派連合が事前の予測を覆して極右政党「国民連合」を抑えて最大勢力になりました。第1回投票では国民連合が優勢だったものの、最終的には左派連合の「新人民戦線」が最多議席、マクロン大統領率いる中道の与党連合が2位になり、政権は維持したものの与党にとって大打撃となりました。
 今年11月に行われるアメリカの大統領選挙においても、与党民主党の劣勢が報じられています。トランプ前大統領の暗殺未遂事件により、トランプ氏の圧倒的優位が報じられ、バイデン大統領は撤退を余儀なくされました。候補者はハリス副大統領に差し替えられましたが、依然としてトランプ氏の優位が報じられています。

冷戦終焉後のグローバリズムに対する拒否反応

 これらの現象は、それぞれの国により事情は違いますが、与党批判の原因は東西冷戦終焉後のグローバリズムに対する拒否反応だと、私は思っています。
 昭和から平成に変わる頃、東西冷戦は終結し、ソ連はロシアなど15の共和国に解体されました。共産主義の盟主が消滅し、西側の考え方が世界のスタンダードになったのです。この結果、西側の盟主であるアメリカのシステムが事実上世界を支配する、グローバリズムの時代が始まったのです。
 グローバリズムの時代になり、世界経済は急速に拡大しました。それは、市場が西側だけではなく全地球に拡大したからです。確かに、国境を越えて、人・モノ・カネの移動が自由になったお陰で経済は発展しました。しかし、その利益は一部の人や企業に集中し、世界中で貧富の差は拡大しました。また、それぞれの国の伝統的な価値観や慣習、文化は市場原理主義の下では否定されてきました。その結果、利益を得た者と失った者に国民は分断され、大多数の国民の不満爆発が世界中で巻き起こっているのです。与党敗退はそれを象徴しているのです。グローバリズムの盟主であったはずのアメリカですら、グローバリズムに矛盾を感じる勢力が急速に拡大しています。トランプ現象は正にその象徴なのです。

冷戦終焉後の日本

その上で日本社会を顧みると、バブル崩壊以後、日本でも市場原理主義の嵐が吹き荒れていました。「JAPAN as No.1」と自他共に認めていた日本型の社会の仕組みを徹底的に破壊し、アメリカ型に合わせることが改革だと国を挙げて改革騒動に邁進してきた結果が、失われた30年ではなかったでしょうか。
 その象徴が、小沢一郎氏の掲げた小選挙区制の導入という政治改革、さらに、小泉内閣の郵政民営化、民主党政権での事業仕分けです。これらが失われた30年の元凶であったことは間違い無いでしょう。
 安倍元総理は戦後レジームからの脱却を訴えましたが、グローバリズムには迎合的で、規制緩和は続けられて来ました。

岸田総理が訴えるべき事は何か

西田昌司後援会のひとつである『ガルーダベース経世済民塾』の宇治・城陽・山城エリアの発足式を開催していただきました

 こうした状況の中、自民党総裁選挙が今年の9月に行われます。冒頭に述べた様に、内閣支持率、政党支持率ともに低迷しています。また、世界中で与党が敗退しています。このままでは、日本でも政権交代はあり得ます。自民党は、こうした現実を素直に冷静に認める必要があります。
 その上で、岸田内閣の3年間を振り返ると、冷戦後の歴代内閣とは明確に路線の変更があったことが分かります。先ず、経済政策においては、特にコロナ対応で100兆円の財政出動をするなど新自由主義路線とは明確に一線を画しています。歴代内閣で最も財政出動をしたことは間違いありません。さらに防衛費の倍増を中期防衛計画で決定するなど、安倍内閣以上の成果を出しています。
 にもかわらず、評価が低いのは何故か。それは、岸田総理の信念が国民に伝わっていないからです。新自由主義やグローバリズムとは一線を画しているにも拘わらず、ウクライナ問題などでは、安倍内閣以上に対米追随している様に見えます。
 安倍元総理の暗殺以後、日本では公然と安倍批判をする勢力をマスコミは取り上げます。その事件の容疑者を英雄視する風潮すらあります。それはマスコミが反グローバリズムに傾く世界の潮流に乗っているからです。安倍元総理は戦後レジームからの脱却を訴えながら、グローバリズムに寄り添っていたと彼らは思っているのです。
 では、岸田内閣の3年間はどうであったのか。何を目指しているのか。岸田総理は、それを自らの言葉で総括する必要があるのです。

瓦の独り言
「なべとり川のブラックスミス」


羅城門の瓦

猛暑お見舞い申し上げます。
暑い暑い中で、熱い熱い仕事をしている人を紹介させていただきます。
 植木職人の世界では、「安広」の剪定鋏を持っていれば一人前の職人とか。この工房で造られた剪定鋏を第40回全国育樹祭京都(平成28(2016)年)において天皇陛下が使われておられます。
この工房の紹介理由は次の通りです。
京都の伝統工芸品の「よき作り手とよき使い手」の関係を写真集にまとめて、絶滅危惧種的な伝統工芸をも含めて「わざ」を後世に写真記録として残す企画に瓦も参画しています。写真家は池坊専宗氏(池坊次期家元のご長男)で、華道家でもあり新進気鋭の写真家です。京都の60数品目にわたる伝統工芸品をライカのカメラで納めていただきました。その中で「京刃物」としては、池坊専宗さんの要望もあり、剪定鋏が候補に挙がり、工房へお邪魔をした次第です。工房の現当主は3代目で、取材が大嫌いだとか。「隣の人間国宝」や「いっぴん」などの取材も全て断っておられ、そこを曲げての取材でした。当日も日本刀と同じ要領で、玉鋼を軟鋼ではさみ、1000度近くでの鍛造作業(たたき上げ)を実演していただきました。まさしく「鍛冶屋」の言葉がふさわしい作業風景でした。今でも一丁ずつ手作りで、植木の剪定鋏のみを作り続けておられます。
 京都の伝統工芸品は西陣織、京友禅などが有名ですが、「安広」の剪定鋏も造園を中心とする日本文化を支える大切な工芸品なのです。この様な工房は南区が誇るべきものと瓦は思っています。
 我々が誇るべきものは国政をゆだねている西田昌司参議院議員を筆頭に多々ありますが、今回、そこに南区が誇る「なべとり川のブラックスミス*」を付け加えたいと思います。

(ブラックスミス = 鍛冶屋)

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