Q MMTは打ち出の小槌?無限に財政出動できるのですか?
A MMTは自国通貨建である限り、いくら国債を発行してもデフォルトしないと主張しています。
しかし、供給力を上回る需要を財政出動により創出しても、単にインフレを加速させるだけで意味がありません。正しくは、過度なインフレにならない限り、財政出動が可能なのです。
Q 国債発行残高より民間貯蓄残高が上回っている場合には、新規国債発行の余力があるが、高齢化で貯金を取り崩していけば、国債を引き受けることができなくなるのではないですか?
A 高齢化により貯蓄を取り崩していくことは有り得ます。しかし、費消した預金は、それを貰った誰かの預金残高を増やすことになります。そのため、民間貯蓄全体が減ることにはなりません。
そもそも、国債は個人向け国債以外は、銀行が手持の準備預金(無利子)の運用のために取得しているのです。これは、預金から預かった預金では無く、日銀から供給を受けた(通貨発行)ものですから、民間預金の残高とはとは関係有りません。
Q 国債発行による財政出動が過ぎれば、インフレになるのではありませんか?
A その通りです。インフレになるのは、需要が供給より多いためです。逆にデフレは、需要が供給より少ないことが原因です。本来、インフレが正常経済状態です。経済を正常な状態に戻すために財政出動が必要なのです。デフレの時にインフレの心配は必要有りません。
Q 一度インフレになれば制御不能になり、ハイパーインフレになりませんか?
A そのような事実は、歴史上ありません。また、戦後のインフレも数年で収まっています。インフレ制御には、既にノウハウが確立されているのです。むしろ、20年続くデフレこそ最大の問題なのです。
Q 戦後の日本はハイパーインフレで苦しんだのでは無いですか?
A 戦後のインフレは、戦争による生産設備の破壊による供給力不足が根本的原因です。更に、外地からの引き上げの人口急増に伴う需要の沸騰が、拍車をかけました。
Q MMTはドルの様な基軸通貨でないと成り立たないのではありませんか?
A 基軸通貨とは全く無関係です。MMT理論は、自国通貨建国債である限り、返済原資は常に自ら作り出すことができる事実を示しているのです。
Q そもそもMMTとは何ですか?
A 自国建通貨による政府債務はデフォルト(返済不能)しない。この事実を基に、財政政策と金融政策の再解釈をしたものです。そのきっかけは、日本がGDPを超える巨額の財政赤字を続けているにも拘らず、インフレにならずデフレになっている事実を海外の研究者が注目したことです。日本は、MMTを無意識のうちに実践しているのです。また、日本の様に変動相場制を採用している国では、MMTによる財政出動により景気が良くなれば、円高になり、輸出が減り、輸入が増えます。元々内需が圧倒的に多い日本の様な国では、益々内需が増え、国民は豊かになります。